【解説】マンガでやさしくわかる起業
こんにちは。
今回は中野裕哲さんの書かれた「マンガでやさしくわかる起業」を簡単に解説していきたいと思います。
この本は独立して起業をしてみたいけど具体的にどうやったらいいのか分からない人へマンガを通じて丁寧に起業するまでのステップを解説した内容となっている。
この本を読めば起業をするとはどういうことなのかが順を追って理解できる。
それでは早速始めよう。
■起業の準備をする
■事業計画を立てる
■資金計画を立てる
■計画を具体化していく
■事業のスタートに備える
■起業の準備をする
①分野を絞るときの3つの要素
起業すると決心して最初にすべきことはどんな分野で起業をするのか、方向性を決めることです。
その方向性は次の3つが重なったところで起業すると良いでしょう
・人生で実現したいこと
・自分ができること
・社会が求めていること
この3つのうち1つでも欠けていることがあれば、起業しても上手くいく確率は下がってしまうでしょう。
そしてもう一つ大事なことは、数字的なアプローチで問題ないか検証してみることです。
いくらこの3つが重なるところで起業しても利益が上がらないようなビジネスであれば、維持ができないからです。
本書ではワークシートを通してなぜ起業をしたいのか?や、自分の強みについて振り返りをして、これら3点をしっかり棚卸しをしていけるようになっている。
・一体どんなことを実現させたいのか
・自分の強みはなんなのか
・そこに社会的ニーズはあるのか
をしっかり棚卸しすることで起業する方向性を固めていくことが大事である。
②資金を貯める、管理する
起業するためには元手が必要です。
お金を貯めてこれを自己資金とし、足りない分は操業融資を借りてまかなうのが起業のセオリーです。
なので今あなたが会社員であるのならば毎月コツコツ貯金する習慣はつけておきましょう。
なぜなら、融資制度にもよりますが、通常、自己資金は事業全体でかかるお金の1/10〜1/2は必要とされています。
つまり自己資金0で全額を創業融資でまかなうのは、ほぼ不可能ということになります。
また、一時的に誰かに借りてきたお金はいわゆる見せ金であり、自己資金としては認められません。
それに貯金は創業融資を受ける際にも非常に活きてきます。
起業を目指して給料からコツコツ毎月積み立てたお金を自己資金とするケースの方が、金融機関から見たら評価が高いことになります。
「貯めらる人」は「返せる人」「信用できる人」となるわけです。
■事業計画を立てる
①事業コンセプトの3要素を具体化する
まずは仮設を作ってみることが大切
・誰に
・何を
・どのように売るか
この際かなり細かくイメージを作ることが大事です。
《個人がターゲットの場合》
・どこに住んでる?
・何歳くらい?
・性別は?
・どこに通勤している?
・どんな職業?
・どんなことに関心を持っている?
・どんな家族構成?
・どんなことに共感する?
《法人がターゲットの場合》
・どこにある会社?
・業種は?
・従業員数は?
・平均年齢は?
・資本金は?
・社長は何歳くらい?
・どんなことが経営課題?
など細かくまずはターゲットを絞っていきます。
ちなみに本書の主人公秋吉はるかは実家の野菜を使った居酒屋での起業を考えており、そんな彼女が立てたターゲットは下記です。
「田舎の味」が心に沁みそうな40代〜50代の中高年男性
都心まで電車で1時間の埼玉在住、新宿の大手企業本社に勤務。
50歳男性。
地方出身で大学入学時代から東京在住。
家族構成は妻と高校生と大学生の子供2人。
仕事が終わり、すぐに家には帰りたくない。
たまには癒しが欲しいと考えている。
と、まるで刑事ドラマの犯人並みに細かくどんな人に来てもらいたいのかイメージを固めます。
そして細かくイメージしたターゲットへ何を提供するのかを次に考えます。
《飲食業だとしたら》
・業態は?
・オフィス街?住宅街?
・だいたいのエリアは?
・座席は?
・雰囲気は?
・営業時間は?
・客単価は?
・一押しの看板メニューは?
・お酒は提供する?どんなお酒?
《コンサルタント業だとしたら》
・誰がコンサルティングを提供する?
・どんな手法?
・価格は?
・課金方法は固定?成果報酬?
・提供期間は?
・支払い方法は?
②具体的に行動をしていく
イメージした人たちへどんなものを提供できるのかをしっかり落とし込んでいったら、次にそれが正しい判断かどうか具体的に行動しながら検証してみましょう。
同時にどのように売ればいいかも検証していきます。
・ヒアリング
→お世辞を言われないある程度遠い存在の人が理想です
→ターゲットとしている層の悩みや、価格設定が適正かどうか、どこを改良したら
もっと良くなるかをヒアリングしていきます
・市場調査
→手っ取り早いのはネット検索です
ライバル店などを検索し、ホームページから外装、内装、メニュー構成、価格帯、場所
などをチェックします
・競合調査
→実際にライバル店に足を運び、商品・サービスを購入してみましょう
③事業計画書に落とし込む
事業のコンセプトができたら、ざっくりと事業計画書に落とし込んでみましょう。
事業の中身を検討しながら、何度も何度も精査しながら書き直すことが重要です。
その経緯で、客観的、論理的に事業の方向性を自己チェックすることが可能となります。
本書では事業計画書の各項目と記載する際のポイントが丁寧に解説されています。
今までに事業計画書を書いたことがない人も順を追って作成していけるでしょう。
■資金計画を立てる
・
事業計画書をもとに資金計画を立てる
①創業資金を計算する
事業計画書をもとにして、資金計画書を作成しましょう。
創業資金はいくらか、それをどんな手段で調達するのかという2つの視点で考えながら計画します。
創業資金=設備資金+運転資金×3ヶ月分程度
設備資金:オフィス、店舗の敷金・保証金(不動産屋を回り、想定する物件を探す)
:内外装、看板作成費(条件を揃えたうえで各業者に相見積もりを依頼)
:車輌、机、椅子、パソコンなど(条件を揃えたうえで各業者に相見積もりを依頼)
運転資金:仕入資金(仕入価格、最低ロット数、支払条件などを確認)
:役員報酬(生活するうえで最低限必要な額などを参考に決める)
:従業員等の給与(雇用形態別の人数と賃金などの待遇を検討)
:家賃(想定物件の家賃)
:広告宣伝費(広告手段と予算を決める)
:税理士等顧問料(初回の相談段階から顧問料等を確認しておく)
:支払利息(当初借入金×金利÷12ヶ月で計算)
②出資について検討する
必要資金を検討した結果、自己資金だけではまかなえないことが判明した場合、どんな調達手段でお金を集めるか検討します。
1:家族、友人、知人などからの出資、贈与
2:エンジェルからの出資
→エンジェルとは個人投資家の中で、特に起業当初の会社に対して積極的に
投資を行う人のことです。
3:ベンチャーキャピタルからの出資
→ベンチャーキャピタルとは、高い成長性があると見込まれる未公開企業に対して、
投資する会社。出資のハードルは高く、よほど革新的な技術、アイデア、
ノウハウがなければ出資してもらうことは難しいでしょう。
③融資の種類
起業時の資金調達は、自己資金で足りない部分は融資で調達するというのがメジャーな手段です。
借入先としては以下のようなものがあります。
・日本制作金融公庫
→審査スピードが早い
→自己資金要件がゆるい
→無担保・無保証で融資限度額の枠が大きい
・自治体の創業融資
→金利が低い
→利子補給制度、信用保証料補給制度
→融資実行までに長期間かかる
→自己資金の要件が厳しい
・金融機関のプロパー融資
・身内などから借入れ
各項目の詳細な解説や、融資を受ける為のポイントなどが丁寧に解説されています。
■計画を具体化していく
ここまで進んだら、会社形態にするのか、個人事業にするのか、組織形態を決めねばなりません。
会社を作る場合のメリットで一番大きいのは税金面でのメリットです。
まずは豊富な節税策。
個人事業主に対する給与はありませんが、会社であれば役員報酬を払い経費計上することが可能です。
さらに社宅の家賃を計上したり、役員退職金分を保険を使って積み立てたりと豊富な節税策があります。
さらには税率構造の違いもあります。
個人事業主は稼ぐほど所得税率が上がりますが、会社が課される法人税は基本的に一定率。
会社の利益にかかる税金(法人税、住民税、事業税の合計)は税率が最大で33%、180万円を超えると40%となります。
これに住民税の10%を加えれば、税率50%にもなります。
最初からある程度の利益が見込める場合は会社設立を検討した方が良いでしょう。
他にも会社設立と個人事業の比較をした表が本書には書かれています。
②起業する本拠地を決める
どこで起業するか、これも十分な検討が必要な項目です。
会社組織の場合、本店所在地をどこにするか、個人事業主の場合は主たる事務所、事業所をどこにするかです。
主な選択肢は下記の通りです。
・自宅
・賃貸オフィス、店舗
・自治体等のインキュベーションオフィス
・バーチャルオフィス
・間借り
③会社設立/個人事業開業の手続き
起業する本拠地が決まった段階で、会社設立もしくは個人事業開業の手続きをします。
会社設立には以下の手順で進めます。
《会社設立》
1:会社イメージの決定
2:基本事項の決定
3:資本金の決定
4:役員の決定
5:定款の作成
6:定款の認証
7:登記の申請
8:登記完了
9:事業開始
《個人事業》
1:会社イメージの決定
2:基本事項の決定
3:事業開始
■事業のスタートに備える
①役所への届出をする
登記が完了したら、各官庁への届出をします。
(個人事業の場合は登記は不要)
届出は大きく分けて、税務に関するもの、労務に関するものがあります。
本書に書かれたリストを参考に提出漏れがないよう確実に揃えていきましょう。
②銀行口座を開設する
個人事業だとしても事業用の口座を作っておいた方が良い理由は、プライベートの支出と事業用の支出を明確に分けることができるからです。
事業用の入出金だけに限られている方が楽に経理処理できるからです。
③融資の正式申し込み
この段階まできたら、融資の正式申し込みが可能です。
創業融資実行までの期間は、日本政策金融公庫であれば約1ヶ月、自治体では約2ヶ月。
飲食業などの物件取得が必須の業種では、スムーズな準備と手続きを心がけましょう。
④従業員の採用
従業員を採用すると決めたら、まずは待遇条件の検討です。
雇用期間、給与、賞与の有無、休日、勤務時間などを検討します。
事業計画書上の売上や粗利の水準も見ながら慎重に検討しましょう。
入社が決まったら、労働条件通知書を作成し、入社当日までに双方で交わします。
他にも本書には、細かく起業をするまでの流れや、それに必要な書類などが解説されている。
気になった方はぜひ本書を手に取ってみてください。
起業は決して甘いものではありませんが、最新の情報を収集し、事業計画を徹底的に検証し、万全の準備をすれば、それほど怖いものではありません。
もし、あなたの中に、やりたいことがあって、それに相応しい能力と経験を身につけているのなら、ぜひ起業を実現してください。
必ず本書が参考になるはずです。
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